カエルの視神経線維はR1〜R4までの4種類に分類されている。これらは、主要な視覚中枢である視蓋の表層に分かれて投射している。一方、視蓋ニューロンは深い層に細胞体を持ち、樹上突起を表層に送っている。網膜からの入力線維と視蓋ニューロンがどのようなシナプス形成をし、どのような情報処理を行っているかについては解明されていない。この研究の目的は、光刺激によって発生するEPSPの立ち上がり時間と振幅を測定して、どの線維が樹上突起にどこにどのように結合しているかを推定し、カエルの視覚生行動発現の機構を解明することである。 視蓋ニューロンの細胞内電位を研究室で開発したin vivoホールセル記録法で記録し、コンピュータで発生した種々の刺激パターンに対する応答を調べた。この結果、R3は細胞体に近い部位に、R1/R2は細胞体から離れた部位にシナプスを形成していることがわかった。振幅のヒストグラムを2項分布ですることによって、線維が何本に枝別れしてシナプスを形成しているかを明らかにした。細胞体近くに結合する線維は枝分れ数が少なく、遠くに結合する線維は枝分かれ数が大きいことがわかった。このような構造によって、本来ならば、細胞体から遠い部位に結合線維からの入力は弱いが、終末の数を増やすことによって、これを補償していると考えることが出来る。
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