研究概要 |
本研究では,有機非線形光学材料による光波マニュピレイション技術の研究の中でも波面のマニュピレイションを研究した.従来の光マニュピレイション技術では単なる光の空間強度分布のみを変調する事が多かった点から脱却し,光波の空間位相分布を変調し、偏向特性を制御する事をめざした.この観点から,本研究班では,電場配向ポリマーの高速応答性および面デバイスへの易加工性に着目し,従来の液晶空間光変調器,超音波光変調器,無機フォトリフラクティブ結晶を凌駕する新しい波面マニュピレイションデバイスの構築を目指す研究を行った. (1)電場配向ポリマー空間光変調器試作を目的として,引き続き種々の電場配向ポリマー材料の製作を行い材料の基礎特性の評価を行なった.特に,ヘテロダイン干渉顕微鏡を試作し,材料の精製密評価技術の開発した. (2)上記の結果をもとに,電極をとりつけたデバイスの基本構成の検討を行った.変調度,屈折率変化,応答速度等の測定評価に基づき集積化駆動回路を試作した. (3)電場配向ポリマーにより数pm/Vの電気光学行かを持つ材料を用いてフォトニッククリスタル構造をつくり,直流駆動の場合コントラスト比1300:1、交流駆動の場合には250KHzで3:1のコントラスト比を得た. (4)電子ビーム露光装置を導入し,上記デバイスにとりつけるマイクロレンズ,回折格子等の製作のため,ディフラクティブ光学素子製作システムの開発に着手した. (5)非線形な光出力をシリコンチップ状に二次元高密度で得るために発光素子と駆動回路をシリコン基板状に集積化するための基礎実験を行なった.歪短周期超格子を用いた化合物半導体とシリコンの一体化技術,微小発光素子および線形非線形アナログ集積回路についても検討した. (6)Si基板上に発光素子アレイを形成するための選択成長の基礎条件を検討し,低温域での成長条件を見いだした.
|