研究概要 |
1.進行波型疑似位相整合素子の作製 微細加工技術を用いて進行波型疑似位相整合導波路素子を作製する技術を独自に開発することに成功した。その技術を用いて,非線形部に有機非線形光学結晶DMNPを,線形部にフッ素化ポリイミドを用いた線形・非線形ヘテロ構造薄膜導波路を初めて作製した。この手法はDMNPだけでなく,多くの有機結晶に適用可能な汎用性の高い技術である。 2.進行波型疑似位相整合素子におけるSHG 上記の手法で作製したDMNP/ポリイミド周期構造薄膜導波路を用いて,Ti:サファイアレーザ光の波長変換の実験をおこなった。全長1mmの薄膜導波路で,波長854nmにおいて疑似位相整合が達成されていることを確認した。これは,有機結晶を用いた導波路としては初の成果である。チューニングカーブの半値幅から換算した相互作用長は約0.2mmで,得られた変換効率も高くないことから,導波損の低減が緊急の課題であることがあきらかとなった。 3.微小2重共振型波長変換素子の設計 微小共振器を用いた新規な波長変換方式について,有機非線形光学結晶MNAの利用を想定した素子の設計をおこなった。高調波の半波長の厚さのMNA結晶を基本波・第2高調波に対する2重共振器中に配したときの変換効率を見積もったところ,100%/W以上の高い効率が実現可能であることがあきらかとなった。現在,SiO_2/TiO_2多層膜ミラーを用いた素子の最適化を検討中である。
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