非線形光学結晶LAP(L-Arginine Phosphate Monohydrate)を温度降下法(徐冷法)で二ヶ月間育成し、31×42×95mm^3の大型結晶を得ることができた。 得られた結晶から、カット・研磨により30mm長の光学素子を作製し、誘導ブリルアン散乱発生の実験を行った。パルスのNd: YAG laser(波長1064nm、パルス幅13nsec、入力エネルギー100mJ以下)を集光入射させ、反射光のファブリー・ペロ-の干渉縞より18GHzのブリルアンシフトを観測し、80%の高エネルギー反射率の誘導ブリルアン散乱のスペクトルを測定することができた。世界で初めて固体結晶による強い誘導ブリルアン散乱を確認することができた。誘導ブリルアン散乱は、共振器、ホログラム等の幅広い応用が可能な位相共役光を発生させることができるため、この研究を通して有機結晶の新分野への応用の可能性を提示することができた。 新有機結晶DAST(4-Dimethylamino-N-Methyl-4-Stilbazolium-Tosylate)を温度降下法で育成し、3日間で3×3×2mm^3の結晶を得ることができ、他の有機結晶と比較して結晶育成が容易であることが分かった。加工の際に重要となる硬度を測定し、ビッカース硬度61と有機結晶では大きく、従来の加工法が利用できる程度の硬さをもつことを明らかにした。
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