研究課題/領域番号 |
07246107
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐々木 孝友 大阪大学, 工学部, 教授 (50029237)
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研究分担者 |
横谷 篤至 宮崎大学, 工学部, 助教授 (00183989)
吉田 国雄 大阪工業大学, 工学部, 教授 (70029338)
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キーワード | 有機非線形光学材料 / 単結晶 / DAST / 結晶成長 |
研究概要 |
本研究では、主に、優れた特性を有するが育成が困難であった有機非線形光学材料DASTの単結晶育成、及びその高品質化を行った。本研究で得られた結果を以下に総括する。 ・溶液上部の析出をなくし、結晶成長を制御可能とするため、テフロン製の育成槽を作製した。このテフロン製の育成槽を用いることで、育成を安定に長期間続けることが可能となり、温度降下速度を制御することにより種々の成長速度(0.14mm/dayから1.2mm/day)で結晶育成することに成功した。 ・偏光顕微鏡による観察の結果、成長速度が0.4mm/day以下になると結晶全体で消光し、光学的に均一な結晶であることがわかった。 ・ロッキングカーブ測定をおこなったところ、成長速度が遅くなるにつれてピークがより鋭くなり、配向性が向上した。DASTの結晶性が成長速度に強く依存していることがわかった。 種結晶から育成したDASTのロッキングカーブ半値幅は、最小値で37.4秒(成長速度0.14mm/day)と非常に高品質な結晶であることがわかった。一方、自然核生成で得られた結晶の中には、Si結晶の半値幅の1.5倍である15.8秒とさらに良質な結晶も存在していた。 ・種結晶から育成した結晶(FWHM 37.4秒)のX線トポグラフィにより結晶欠陥の観察をおこなったところ、種からの転位は見られたが、成長とともに厚みを増やしていった部分には目立った転位は存在せず、良質な結晶であった。 ・ビッカース硬度とロッキングカーブ半値幅には相関関係がみられ、半値幅の値が減少するにつれて、ビッカース硬度の値が49まで増加したことから、DASTの結晶硬度は、同じ有機イオン性結晶であるTHAMPやLAPと同程度であり、有機結晶の中では比較的硬い結晶であることがわかった。
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