平成8年度の目標は、(1)ポッケルス係数、2・3次の非線形電気感受率の測定、(2)有機結晶コア・ファイバーの作成と評価、(3)EO光変調デバイスの設計と構築および(4)超短光パルスの発生であった。 (1)に関しては、有機MNA薄膜結晶や電場配向ポリマーを用い、セナルモン法によるポッケルス係数測定を行い、メーカー・フリンジ法による2次の非線形電気感受率とその波長分散測定によりポッケルス係数、電気感受率相互の関連を明らかにした。その結果、局所場補正に多少の問題があるものの2準位モデルが相互関係を良く説明していることが明らかになった。 (2)に関しては、有機単結晶DMNPコア・ファイバーを用い、チェレンコフ放射方式位相整合SHGを利用して単一モード伝搬の条件を明らかにすると共に、(1)と同様、セナルモン法を適用して、初めて結晶コア・ファイバーの形態でポッケルス係数を測定することに成功した。その値は2準位モデルからの予測値と極めて良い一致を示した。 (1)、(2)の結果を基にして現在、(3)の課題を取り組んでいる。具体的には、電場配向ポリマーを用いた方向性結合器、結晶コア・ファイバーを用いたマッハ・ツェンダー干渉計型変調器の設計・試作である。前者については既に終わっており、試作段階に入っている一方、後者については電極付けの課題を検討しているところである。(4)は、引き続き実験を続行中である。
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