研究実績の概要 平成8年度においては幾つかの評価できる実績を得た。 (1)有機色素分散高分子膜光導波路においてフェムト秒オーダーの時間ソリトンを観測した。すなわち著名な非線形有機分子DR1をPMMA中に分散した薄膜をコロナポーリングにより配向させ非線形導波路を形成し、これにパルス幅100フェムト秒のチタンサファイアレーザを導波させたところ、伝搬しても波形が崩れないソリトン光パルスを観測出来た。通常はシングルモードシリカ系光ファイバにおけるソリトン波発生は簡単ではないが上記の方法により数ミリメータの伝搬距離で簡単に、これを実現することが可能となった(佐々木)。 (2)プラスチック光ファイバに蛍光色素をドープした構造において増幅された自然放出光(ASE)が容易に得られることを示した。これにより医用応用や計測装置に向けての各種の応用に適した波長可変の高出力光源を実現できる(佐々木)。 (3)有機・無機複合電気光学材料を用いた進行波型光変調器の設計を行いマッハツエンダー型の形式で80GHzの変調が可能であることを推定した。これにより次年度に具体的な素子製作を行う予定である(岡本・杉原)。 (4)ピリリウム系およびIndan系非線形光学材料を取り上げ、これを高分子膜中に分散させた膜についてコロナポーリングを施しメーカーフリンジ法で2次の非線形光学特性を評価した。その結果、これらの物質系は比較的高温で緩和が少ないことが判明した(岡本・杉原)。
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