近年、レーザ光の応用領域は、情報通信・情報処理、計測制御、生化学、医学などの分野を越えて拡大化している。これに伴ってレーザ光の高度な制御技術を可能とする光学材料科学と光エレクトロニクスとの学際領域の研究は、重要な研究課題である。多彩な光学材料の中で有機材料は、高い非線形光学特性と高速応答性などを有する優れた特徴を持つ。本研究では、極めて大きい非線形光学特性を有する有機イオン塩の機能性光デバイスへの応用を検討することを目的に研究を進めている。 現在までに得られた研究成果は、以下に示す通りである。 1.大型化の困難な有機イオン結晶DASTの徐冷法による結晶成長条件を確立した。従来、5mm角程度であったが、10x7x0.5mm3程度の良質で、かつ現状で世界最大のDAST結晶の成長に成功した。 2.偏光を用いた評価により大型結晶における光学特性の均一性が確認できた。 3.吸収スペクトルの結晶軸依存性を明らかにした。 4.大型結晶の二次の非線形光学性が確認できた。
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