局所場による共鳴効果は固体相では非常に大きく、これが波長変換素子のデザインにおいては重要である。しかし、実際に局所場を測定することは困難である。そこで、局所場の効果をスペクトルを通して間接的に検証することを目的として、モデル物質としてスチルバゾール発色団が共有結合で結び付いたカリックス[4]アレーン(4量体と呼ぶことにする)およびその構成分子(単量体と呼ぶ)を用い、発光・吸収スペクトルを測定し、以下の知見を得た。 1)4量体は、溶液中では対向する2つの発色団が平行に立ち、他の2つの反平行に寝た構造になっているため、相互作用が小さく吸収スペクトルは、単量体との差が見えない。 2)しかし、4量体の発光スペクトルには単量体にはない長波長のピークが見られた。これは、4量体の対向する2つの発色団の配置がゆらぐ時に、全体が平行になる場合があり(ただし、状態密度が小さいため吸収にはかからない)、基底状態が非常に大きな静的双極子モーメントをもつ場合には、局所場の効果によって励起状態でこの配置が最も安定になるために、この準位からの発光が選択的に起こるためと考えられる。 3)そこで、ゆらぎを止める効果があると考えられる4量体の固体状態と、分子内にアルカリ金属を包接した状態で発光スペクトルをとったところ、予想どおりこのエネルギー安定状態からの発光が非常に強調された。 以上より、分子式だけからでは予想できない分子の実際の形の制御が局所場の効果の上で非常に重要であることが確かめられた。
|