フォトリフラクティブ(PR)応答の速度を上げるための一つの方法として、その材料のドリフト移動度を高くすることが有効と考えられる。テトラフェニルジアミノビフェニル(TPD)などのトリフェニルアミン誘導体は、正孔移動度が高いことが知られている。本研究は、高い正孔移動度を有する電荷輸送分子の含有濃度を上げるため、トリフェニルアミン誘導体を側鎖に導入したホモポリマーを合成し、それに電荷発生剤と非線形光学(NLO)色素とドープしたPRポリマーの電気工学効果、ドリフト移動度、光導電性を調べ、各成分の影響を検討したものである。トリフェニルアミン誘導体を導入したホモポリマーと二次のNLO色素を合成し、その基礎的な物性の評価をした。モノマーの選択としてガラス転移温度(Tg)が比較的低く、製膜性の良いと予想されるアクリレート型を選択した。トリフェニルアミン(TPA)を導入したアクリレートポリマーは、数平均分子量が1万から5万であり、Tgは85℃と比較的低く製膜性は問題なかった。TPDを導入したポリマーは、数平均分子量が2万から9万であり、Tgは150℃程度と予想以上に高く、単独では製膜できなかった。これは側鎖がかさ高いのとTgが高くなったためと考えた。合成したポリマーと電荷発生剤であるC60、NLO色素を混合したポリマーの電気光学定数、正孔移動度、光導電性を測定し、各成分の物性に与える影響を検討した。TPAアクリレートポリマーにNLO色素を30wt%加えたドープ系の一次の電気光学定数r_<33>は6.0pm/Vまで増加した。Time-of-Flight法により測定したTPAアクリレートポリマーとNLO色素を30wt%加えたTPAアクリレートポリマーの正孔移動度は10-7〜10-8cm^2V^<-1>s^<-1>となり、NLO色素を加えた方が1桁程度低かった。光導電性はXerographic discharge法によって測定し、ゲインスペクトルは吸収スペクトルにほぼ対応した。
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