新規光非線形材料開発のために液晶状態の機械的配向と電場配向を併用した新規な配向方法の開発を目的として研究を進めた。試料としては4-hydroxybenzoic acidと2-hydroxy-6-naphthoic acidの種々のモル比の共重合ポリエステルを合成し、材料としての性能を比較した。機械的配向のみで、5Pm/Vの非線形光学定数を有するフイルムを得た。機械的配向のみでは、分子の分極方向がすべて同一方向に向けている可能性は少ないから、SHG効果を上げるには限度があると思われるので、液晶状態の試料に、極性電場を印加し、ポーリングをおこない、溶融ポーリング試料に電場を印加したまま左右両方向に同時に延伸し(液晶温度の下限で)、電場印加のまま室温まで放冷し、配向試料を得た(直流電源装置、エフ・アイ・テイー社製505型はこの電場印加のためにに用いた)。因みに、電場配向のみでは、非線形光学定数X〜X'Pm/Vのサンプルが得られた。種々の条件(温度、印加電圧、時間、延伸比)で得られたサンプルの光非線形性やSHG特性・性能を評価し(CW-Nd : YAGレーザーC-120を光源として、用いた。また、必要な場合にはA-O Qスイッチを用いた。)、製膜条件と光非線形特性の関係を明らかにした。現在、得られた最高のものは非線形光学定数Y〜Y'Pm/Vのものである。この場合、印加電圧はZKV/cmであった。もっと高い電圧を印加しうる直流電源装置を用いる事が出きれば、もっと性能のよいフイルムが得られる可能性があることが予見できるに至った。
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