研究概要 |
本年度は分子自身に対称性を持たない、“N-混乱ポルフィリン"(NC-P)や、置換基の導入により、対称性を減らしたポルフィラジン化合物の分子設計、合成、物性評価を中心に研究を行った。 1)N-混乱テトラフェニルポルフィリン金属錯体の合成と物性 Ni(II),Pd(II),Ag(III)錯体を合成し、x-線構造解析によってそれらが平面四配位構造をとることを明らかにした。長鎖導入のために、錯体へのアルキル化反応を試みたところ、金属の種類に応じて、外周部のN及び、環内部の配向しているピロール炭素への直接アルキル化が起こることが明かとなった。Ag錯体のμβ値の測定を試みたが、強度が検出感度以下であったため、有意な値は得られなかった。また、単分子膜にドープしたところ、気水界面において、ヨウ素アニオンと強い相互作用により、ポルフィリンの配列状態が規制されることがわかった。 2)低対称化ポルフィラジンの合成とそのスペクトル特性 フタロシアニン外周のベンゾ環を部分的に取り去る方法により、6種類のテトラアザポルフィリン誘導体を合成した。化合物はフタロシアニン環(4-Benzo体)から、一つベンゾ環が消失した3-Benzo体、二つ無くなった2-Benzo体としてのシス型とトランス型、一つのベンゾ環のみの1-Benzo体、そしてポルフィラジン環(0-Benzo体)である。これらの外周部には、チオエーテル置換基を導入し、金属イオンとの配位が可能なように分子設計した。Mg,Cu金属錯体のμβ値は約600^〜2000(×10^<-48>esu)のオーダーであった。
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