銀河系内のdiffuseガンマ線領域は、宇宙線源をtarceしていると考えられ、銀河系内での宇宙線の加速メカニズムをさぐる上で重要な鍵を握っている。超新星残骸で宇宙線が加速されているとう説が有力であるが、ガンマ線衛星CGROは、まだ超新星残骸からガンマ線を検出するには至っていない。しかしながら、未同定のEGRETソースのうち少なくとも二つは超新星残骸γ-CygniやIC443との関連が指摘されている。さらに地上のWhippleやCANGAROOなどのチェレンコフ望遠鏡によって、超新星残骸からのTeV領域の超高エネルギーガンマ線の観測も精力的なされている。これらのガンマ線の観測によって超新星残骸での加速についての情報が得られ、宇宙線の起源の問題に迫ることが可能になりつつある。一方で、本研究中にX線天文衛星ASCAが、超新星残骸SN1006の北東と南西のシェルから非熱的なX線を検出していたことがほぼ確実となった。このX線は高エネルギー電子によるシンクロトロン輻射によるものと考えることができる。磁場の強さを10^<-5>Gと仮定すれば、ほぼ100TeVのエネルギーまで電子が加速されていることになる。 そこで我々は、100TeVの高エネルギー電子が存在すれば2.7K宇宙背景輻射の光子をたたきあげる逆コンプトン散乱過程によってTeVガンマを作り出すことができることに着目した。ASCAによって観測されたX線のfluxは2keVから10keVの範囲で、およそ2.6×10^<-11>ergs cm^<-2>s^<-1>である。この値と、逆コンプトン輻射とシンクロトロン輻射のfluxの比が2.7K光子と磁場のエネルギー密度の比に等しいことを使うと、期待できる高エネルギーガンマ線のfluxは、2.6×10^<-12>(B/10^<-5>G)^<-2>ergs cm^<-2>s^<-1>と見積もることができる。チェレンコフ望遠鏡の検出限界が10^<-11>ergs cm^<-2>s^<-1>なので、磁場の強さが5×10^<-6>G以下ならば高エネルギーガンマ線が検出できる可能性がある。 今後はこのようにして作られたガンマ線のスペクトルや輝度分布をを調べ、このようなガンマ線のdiffuseガンマ線への寄与を明らかにしたい。
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