乗鞍と坂下宇宙線望遠鏡の恒星時変化の比較研究から、10TeV以下の宇宙線強度には、太陽圏尾部方向(6時)からのExcess Fluxが存在していることを世界に先駆けて見出した。 その原因は、太陽系が恒星に対して18時の方向に20km/sの早さで固有運動しているために、その反対方向に太陽圏の磁場が長く引きのばされて大きな尾部が形成され、尾部方向から宇宙線が太陽圏に入り易いためである。 この結果をまとめて、イタリアの学術雑誌Nuovo Cimentoに1995年(平成7年)の11月に投稿した。 この6時方向からの宇宙線のExcess Fluxをより定量的に求めるために、坂下多方向望遠鏡のデータとともに、オーストラリアのHobartの地下望遠鏡のデータから、宇宙線の恒星時変化を同時刻集計をして求めた。 一方、太陽系起源の恒星時異方性(Excess cone型)が天球の任意の位置(経度、緯度)、任意の半径を持つとして、観測されるべき坂下及びHobart望遠鏡の期待値を計算した。観測地と期待値を最小自乗法で定量的に比較した。 この結果、Excess Fluxの中心位置は6時であり、赤緯20°Sであり、確かに太陽系の固有運動の反対方向であることが確かめられた。また、半径は60°であることが判明した。このことは、太陽系の固有運動によって、ふきながされた太陽圏の磁場が遠方では、約8割であることを意味し、太陽圏の尾部は、コメットのような形をしていると想像される。本研究の成果をまとめて投稿する準備をしているところである。
|