銀河中心核の活動性のエネルギー源である大質量ブラックホールへのアクリーションを2次元軸対称数値シミュレーションによって調べた。活動的銀河中心核の近傍でのガスの流れは極めて時間変動が激しいと考えられている。シミュレーションでは、ブラックホールへガスが塊となって回転しながら間欠的にアクリーションするモデルを考えた。ガスの塊はそれぞれ別々の速度をもっているので、時に衝突し衝撃波を発生させる。簡単のため、ガスの塊は回転によってリング状に引き延ばされていると仮定すると、その衝撃波はコーン状になる。衝撃波は回転軸の近傍で収束し、そこでガスが加速され外向きの流れが形成される。外向きの流れは高い速度をもち、やがてジェットへと成長する。 このモデルは形成される短寿命の衝撃波が、熱的過程と非熱的過程によりそれぞれX線とγ線を放射し、X線・γ線同時フレアを起こすと予測する。私たちはこのモデルをMkn421でKerrick et al.(1995)によって発見されたX線γ線同時フレアに応用した。Mkn421はBL Lac天体でジェットも観測されている。このモデルについては10月に京都で開催されたAccretion Diskの国際集会で発表し、現在、投稿論文を準備中である。 本研究で開発した数値シミュレーションコードは、TVD(Total Variation Diminishing)schemeと多層格子法(multi grid method)を採用した。これらの方法によって、ブラックホール近傍での衝撃波の形成・衝突や、ジェットが中心核から遠くへ伝搬してゆく様子をシミュレーションすることが可能となった。
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