研究概要 |
昨年度に引き続き,出芽酵母(Saccharomycescerevisiae)を対象として,熱ショックやグルコース飢餓(培地中の糖源としてガラクトースを用いる),あるいは生育状態(対数増殖期と定常期)に応じて発現量が変化する遺伝子を同定し,構造解析や遺伝子破壊などによる機能解析を行なった。本年度は特に生育の定常期にのみ高発現する遺伝子群を網羅的に同定するために,cDNAクローンのdifferential displayによる解析を行い,約100種類の候補クローンを得た。これらのクローンについて個別にNorthern hybridizationを行って遺伝子の発現量を測定し,生育の対数増殖期にはほとんど発現が見られないが,定常期には高い発現量を示す約40種類の遺伝子を同定した。同定したそれぞれの遺伝子について塩基配列を決定し,得られた塩基配列データを出芽酵母のゲノムデータベースと比較して対応する遺伝子の染色体上の位置を確認するとともに,その5^<'->上流域および3^<'->下流域のシス配列を解析した。また,得られた遺伝子についていわゆるホモロジー検索を行い,機能の推定を行った。これらに加えて,昨年までに同定した同様な発現パターンを示す遺伝子について,5^<'->上流域をlacZ遺伝子に接続し,種々のストレス条件下での発現量を測定した。
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