研究概要 |
当研究室では、塩田、塩蔵食品、醤油もろみ、海岸の朽ち木等から独自に多種類の好塩細菌を分離、保存しており、生育に2.5M以上の食塩を必要とする高度好塩菌と、0.5-2.5M食塩を要求する中度好塩菌に大きく分類できる。このような、特殊環境下での蛋白質のfoldingと熱ショック蛋白質の性質に興味をもち、これら、好塩菌の熱ショック蛋白質のスクリーニングを行った。 方法としては、各種菌株を生育上限温度まで種々変化させた温度条件で生育させ、集菌後、菌体破砕、遠心分離で粗抽出液を調製し、直接、もしくは、ATPカラムにかけその吸着画分をそれぞれSDS-PAGEにかけ蛋白バンドの生育温度に伴う生産量の変化を調べた。 その結果、高度好塩菌では生育温度の上昇とともに蓄積量が増加し、生育上限温度付近で最も顕著に蓄積され、しかもATPカラムに結合する蛋白バンドを数種類検出した。 一方、種々の菌種に属する中度好塩菌においても、生育温度の上昇とともに生産が増加し、ATPアガロースに吸着する数種のバンドを検出した。顕著に合成量が変化する蛋白バンドについて、SDS-PAGE後、PVDF膜に転写し、N末端アミノ酸配列を調べたところ、Planoooocus属中度好塩菌からは、Bacillus subtilisのGroELと相同の、またAcinetobactor属,Pseudomonas属中度好塩菌からは、E.coliのそれぞれDnaK,GroELと相同のN末端アミノ酸配列を持つ蛋白を同定できた。現在Pseudomonas属中度好塩菌から、GroELホモログを精製し、その性質を検討している。sonication後の粗抽出液より、ATPカラム、DEAEカラム等を用いて均一に精製し、ATPase活性を確認した。非好塩性細菌である大腸菌のGroELとの性質の比較により、好塩菌での蛋白質のfoldingメカニズムを検討していく予定である。
|