研究概要 |
1)暗条件下でも生育可能な単細胞性の藍色細菌Syncechocystis sp.strain PCC 6803で生物時計を分子遺伝学的に研究できる実験系を確立した。ヒートショックタンパク質DnaKをコードするdnaK遺伝子のプロモーターの下流、発光バクテリア由来のルシフェラーゼluxAB遺伝子のタンパク質コード領域を連結したレポーター遺伝子をゲノムに組み込み、dnaK遺伝子の発現を生物発光として長時間連続的に測定した。dnaK遺伝子の発現は恒明恒温条件下で24時間周期の日周変動を示し、真核生物の概日性リズムの三条件を満たす典型的な概日性リズムであった(Aoki et al.,1995.J.Bacteriol.177:5606-5611) 2)高等植物の概日性リズムは一般に恒暗条件下では速やかに消失してしまうことが知られているが、それとは異なり、この藍色細菌のdnaKの発光リズムは恒暗条件下でも長時間継続することを明らかにした(Aoki et al.,1996.in preparation)。この発見により光による生物時計のリセットの研究への道が開けた。
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