PARPと相互作用する蛋白質の同定を試みた。免疫沈降により、ショウジョウバエKC細胞から123、116、92、77、63kDaの蛋白質が抗PARP抗体によって共沈した。つぎにPARPの自己修飾領域を蛋白質プローブに用い、ショウジョウバエのλgtllcDNAライブラリーからPARPに結合する7個のクローンを得た。これらいずれも新規の蛋白質で、Lysに富む蛋白質か、GlyGlyArgGlyの繰り返し配列を持つ蛋白質のいずれかであった。Nothern blotの結果から、これらのPARPの自己修復領域と相互作用する塩基性蛋白質は、胚発生で発現しており、これらの新規蛋白質は、核内でPARPの活性化の過程でPARPと共同で機能していると思われる。 in situ hybridizationによって、胚発生初期ではPARPmRNAは均一にかつ豊富に存在すること、卵巣において哺育細胞においてPARPmRNAの高い発現がみられることから、発生初期における母性由来のmRNAであることが示唆された。発生後期では発現量は徐々に減少し、PARPmRNAの局在が神経系に沿って点在する細胞にみられた。この細胞は、アクリルオレンジ染色の結果からプログラム細胞死を起こしている細胞に類似していることがわかった。 PARP遺伝子の一部を欠損するショウジョウバエ変異体を2ライン得た。PARP遺伝子の一部の欠損についてhomozygoteの表現形質を調べたところ、成虫にはならないこと、胚発生はほぼ正常で胚発生後期まで進むことがわかった。また、PARPの欠損変異体のhomozygoteはまでは正常に発生する可能性が示唆された。現在、PARP欠損homozygoteでは、どのような変化が起きているのかを、発生やプログラム細胞死の指標になる複数の抗体を用いて検討している。一方、pエレメント挿入変異体の単利を試み、1ライン得た。このpエレメント挿入変異体のhomozygoteも発現形質は致死であった。
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