研究概要 |
出芽酵母内には染色体DNA複製に関与している三つのDNAポリメラーゼ(I,II及びIII)の他に、DNAポリメラーゼIV,Rev3DNAポリメラーゼ及びミトコンドリア内に存在するDNAポリメラーゼが知られている。最近の酵母ゲノムプロジェクトの結果から酵母染色体DNA上に新たなDNAポリメラーゼ様の蛋白をコードするORFが明らかになった(YEL055C)。本年度はこのORFが実際、新たなDNAポリメラーゼをコードしており、このDNAポリメラーゼのDNA修復反応への関与を検討した。先ずYEL055CをGALプロモーターの下流に挿入しガラクトースによる誘導により蛋白の多量発現を試みた。その結果、ORFより予想される分子量の約120kDa蛋白の特異的な誘導がSDSゲル電気泳動により検出された。次にこの蛋白がDNAポリメラーゼ活性を有するかどうかをactivity gel assayを行なった。その結果新しい誘導された約120kDa蛋白にDNAポリメラーゼ活性が存在することが証明できた。最後に、この新しく同定されたDNAポリメラーゼの修復に於ける役割を検討する目的でこの遺伝子の欠損株を作成し、現在解析を行なっている。
|