胃壁細胞のH/K-ATPase分子αサブユニット(891-904位アミノ酸残基)を認識し、nu/nuマウスに胃炎を誘導するCD4T細胞クローン、II-6を確立した。そのTCR遺伝子及びサイトカインメッセージを解析し、自己免疫性胃炎の発症機序を検討した結果、II-6細胞が胃壁細胞を傷害してnu/nuマウスに胃炎を発症させ、II-6と同じクロノタイプを発現するT細胞が胸腺摘出によって自己免疫性胃炎を発症したBALB/cマウスにおいても証明された。胃炎発症BALB/cマウスでは少なくとも3種のペプチドに対するT細胞増殖反応が認められるものの、II-6の認識するペプチドは発症と関係するdominant antigenであると考えられた。本研究の計画年度内には完成しなかったが、現在このTCR遺伝子を用いて、BALB/cマウスへの遺伝子導入を行う実験が進行中であり、それによって自己免疫性胃炎マウスモデルの確立が期待される。
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