エクダイソンパルスでFTZ-F1遺伝子が誘導されるのに必要な転写開始点付近の1.6kbの領域のシス-エレメント内に塩基特異的に結合する2つの因子を同定し、その結合部位を決定した。これらの因子は、エクダイソンパルスに応じて変動することからFTZ-F1遺伝子の転写調節にかかわることが期待された。 FTZ-F1の標的遺伝子と考えられるEDG84遺伝子の様々な転写調節領域をLacZ遺伝子に結合させた融合遺伝子を持つtransgenic fly系統を作成し、レポーター遺伝子の発現パターンを解析した。その結果、-400bpまでを有すると内在性のEDG84遺伝子と同様に成虫原基由来の細胞で発現すること、-200bpまでを有すると腹部表皮細胞での発現がみられるようになること、-100bpまでを有すると成虫原基由来の細胞で発現が極端に低下することが明らかになった。以上のことから、-400bpと-200bpの間に腹部での発現を抑制する因子が作用すること、-200bpと-100bpの間に成虫原基由来の細胞での発現を上昇させる因子が作用すると考えられた。 FTZ-F1(BmFTZ-F1)によるfushi tarazu(ftz)遺伝子の転写活性化に必要なmediatorである。MBF1をクローン化し、塩基配列よりアミノ酸配列を予想した。その結果、MBF1は、humanからyeastまで存在することが明らかになり、その機能の重要性が示唆された。一方、クローン化したMBF2を用いて、基本転写因子との相互作用を調べたところ、MBF2は、TFIIAと相互作用することが明らかとなった。TFIIAを除いたHela転写系を用いて転写実験を行なったところ、転写の活性化はみられず、MBF2による転写の活性化にはTFIIAが必要であることが示された。
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