1.コンドロイチン6硫酸転移酵素遺伝子の発現 (1)コンドロイチン6硫酸合成活性が極めて低いCHO細胞に、リン酸カルシウム法でコンドロイチン6硫酸転移酵素cDNAの導入を行い、コンドロイチン6硫酸転移酵素mRNAを強く発現するクローンを得た。これらのクローンを用いて今後細胞増殖、細胞接着などの変化を調べる。 (2)コンドロイチン6硫酸転移酵素cDNAの一部を大腸菌で発現させ融合ペプチドに対する抗体を作製した。この抗体は精製したコンドロイチン6硫酸転移酵素と反応した。この抗体を用いて12日目ニワトリ胚骨端軟骨を染めたところ、ゾーン3(肥大細胞層)の細胞間マトリックス部分が染色された。コンドロイチン6硫酸転移酵素cDNAを鋳型とし、DIG標識のRNAプローブを作製し、12日目ニワトリ胚骨端軟骨でin situハイブリダイゼーションを行ったところ、同じくゾーン3細胞で発現が認めらた。今後軟骨の分化の段階を追って詳細に調べる予定である。 2.ヒト及びマウスの相同遺伝子のクローニングを行い、ORFを全部含むと思われるヒト相同遺伝子をクローニングした。 3.コンドロイチン6硫酸転移酵素遺伝子をCOS7細胞で発現すると、コンドロイチンだけでなく、ケラタン硫酸を硫酸化する活性が発現した。精製酵素を用いてケラタン硫酸の硫酸化される糖残基を調べたところ、Gal残基の6位に硫酸基が転移された。精製したコンドロイチン6硫酸転移酵素を用いて、シアリルルイスx関連の種々のオリゴ糖への硫酸転移反応を調べたところ、シアリルラクトサミン部分を持つオリゴ糖へ硫酸基が転移された。このことはコンドロイチン6硫酸転移酵素がグリコサミノグリカンの合成以外に新しい機能を持つ可能性を示唆している。
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