本年度は、昨年度に分析した「生涯学習としての環境教育をささえる様々な環境保全活動」の成果のもとに、個々の環境保全活動、とりわけ、NGO、行政、企業などのパートナーシップにもとづいて行われている環境保全型地域づくり(循環と共生を基調にした地域づくり)の活動をとりあげ、これらの諸活動の環境教育的評価を行った。さらに、生涯学習としての環境教育の拠点の一つである学校に焦点をあて、パートナーシップにもとづいた学校、地域、家庭における環境教育のありかたについて、先進的事例の調査・分析をとおして提言した。 環境保全型地域づくりとしては、特にエコミュージアム、グラウンドワーク、エコツーリズムをとりあげ理論的検討を行うとともに、山形県朝日町、静岡県三島市、熊本県阿蘇グリーンストックの3事例をもとに実証的な検討も合わせて行った。その結果、これらの環境保全型地域づくりにおいて、環境教育は主要な活動として位置づけられているだけでなく、地域づくり全体が持続可能な地域をめざす環境教育として住民にフィードパックされていることがわかった。今後はこれらの活動を地域の視点のみならず、国際的視野から環境教育に求められている今日的視点である平和、人権・開発などを統合した空間的・時間的広がりをもつ地球教育の視点をもあわせもつよう配慮していくことが持続可能な地域づくり保証する持続可能な世界づくりにつながっていくことに留意した活動に取り組むことが必要である。
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