1)イオウ代謝系にかかわる酵素遺伝子の単離 ATPサルファリラーゼ遺伝子はシロイヌナズナより2種類、単離した。方法はジーンバンクに登録されていたDNA配列より適当なプライマーを設定し、PCRでまず、当該遺伝子の断片を得た。次に、この断片をプローブに用いてcDNAライブラリーより全長鎖のクローンを得た。DNA配列の比較からクロロプラストに存在する分子種であることが確認された。細胞内でのATPサルファリラーゼ活性の70%以上は葉緑体由来と言われるので、分子育種の材料として好都合である。 システイン合成酵素遺伝子はやはり、シロイヌナズナより1種類を得た。ATPサルファリラーゼ遺伝子を得たのと同じ方法によった。DNA配列の比較からミトコンドリア由来だはないか、と思われる。シロイヌナズナでは始めての遺伝子であり、その性格ずけをしなければならない。 2)組換えイネの作成 得られたcDNAは現在、フレームを合わせてバイナリーベクターに導入中である。遺伝子導入にはアグロバクテリウムを用いる予定なので、そのシステムをセットアップするために、GUSを持つベクターで予備実験を行った。今のところ、順調にすすんでカルスより再分化個体が現われている。
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