研究概要 |
1-フェニルTIQ及び1-フェニルNMTIQの神経毒性について検討した。 1)培養神経細胞に対する毒性:ドーパミン神経細胞であるSH-SY5Y培養細胞に、1-フェニルTIQまたは1-フェニルNMTIQを添加して37℃で1-3時間インキュベートし、細胞死の程度を測定した。1-フェニルTIQは1mMの濃度においても神経細胞死を来さなかったが、1-フェニルNMTIQは1mM濃度において、無添加群に比較して約50%の神経細胞死を来した。2)ミトコンドリア呼吸抑制作用:マウスより調整したミトコンドリアに1-フェニルTIQまたは1-フェニルNMTIQを添加し、state3に対する呼吸抑制作用を検討した。malate^+ glutarateを基質とした場合、1-フェニルTIQ、1-フェニルNMTIQは各々1mM濃度において、無添加群に比較して約23%,9%の呼吸抑制作用を示した。また、succinate^+rotenoneを基質とした場合、1-フェニルTIQ、1-フェニルNMTIQは各々1mM濃度において、無添加群に比較して各々約19%,15%の呼吸抑制を示した。ミトコンドリアの複合体Iに対する酵素阻害作用を検討したところ、1-フェニルTIQ、1-フェニルNMTIQは各々1mM濃度において、無添加群に比較して各々約60%の呼吸阻害を示し、MPP^+よりも強い呼吸阻害作用を示した。結論として1-フェニルNMTIQは強い神経細胞毒性とミトコンドリア呼吸抑制作用を有することが明らかになった。
|