ロドプシン族の配列を参考にして合成したPCRプライマー用いて、種々の無脊椎動物の眼のcDNAを得て試してみたところ、ゴカイ、クラゲ、ヒトデ等からロドプシンに相同性を示すDNA断片を得ることができた。しかし、ホヤの初期幼生cDNAライブラリー、初期幼生の種々のステージの全RNAから得たcDNA、ゲノムDNAをテンペレートとしてPCRを試みても、目的とするサイズの特異的バンドは得られなかった。この結果から、PCR法によるDNA断片の増幅は中断し、ゲノムDNA中にタコやウシロドプシン遺伝子配列と 相同性を示すような配列が存在するか否かを検討した。タコロドプシン遺伝子、ウシロドプシン遺伝子をプローブとして種々の条件でサザンハイブリダイゼーションを行ったところ、各々のプローブに相同性を示す、いくつかのバンドを同定することが出来た。その中には、ウシ、タコロドプシンプローブの両方と相同性を示すバンドもあった。これらの実験から、スクリーニング条件の情報、ロドプシン類似遺伝子の存在を示唆する結果が得られた。現在これらの知見を基にホヤのゲノムライブラリーのスクリーニングを行い、いくつかのポジティブクローンを得て、解析を進めている。
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