1)平成7年度の研究成果のまとめ 研究のタイトル : ミトコンドリアDNAからみた野鶏の進化 所属 : (財)進化生物学研究所 近藤典生 Gallus属については入手できた試料についてミトコンドリアDNAの分析を行い、すでに報告しているので、今年度は野鶏に関連して、キジ亜科に属する16種類の鳥類についてミトコンドリアコントロール領域DNAの比較を行い、下記のことがあきらかとなった。 (1)一般のPerdicineの鳥類(ウズラ、シャコ)は古い分岐をもっており、最も近縁とされているウズラ(Coturnix conturnix japonica)とコジュケイ(Bambusicola thoracica)の間でさえ、わずか85.7%の同一性を有しているにすぎない。 (2)以前および今回の解析によって、キジ科の12種の鳥類を大きく3つの枝に分類できる。1番目の枝は、Gallus属の種のみから構成される。これに対し、2番目はPhasianus、Chrysolophus、Symaticusの各属からなる。Lophura属のGallopheasantsは、これらキジ類の遠い類縁と見なされる。Pavo属のThe great argus(Argusianus argus)とpeafowlsは3番目の枝を構成する。3番目の枝のPolyplectron属のpeacock-pheasantsの位置は、2番目の枝のLophura属に似ている。4番目のPhasianineの枝、たとえばジュケイとニジキジは今回の解析には含まれていない。 Perducine属の一つの種であるBambusicola thoradcicaは、他のシャコ属の各属の鳥類よりGallus属とPavo属に近縁であると見なされる。この事は、後にGallusとPavoやその近縁種の2つの系統に別れた一つのシャコ属系統に、コジュケイが属することを示唆するものと考えられる。
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