研究概要 |
Nucleoside Disphosphate Kinase(NDPK)は膜上のG蛋白のGTP供与体であるとともに細胞質ではGTP,UTPなどnucleoside合成による蛋白、脂質、糖質合成に必須のキナーゼで、分子量18,000の蛋白である。これまでαとβの二つのアイソタイプがあきらかにされ、αとβmRNAは、homologyが高く、約89%である。これまで、αは心筋と骨格筋、腎で強い発現がみとめられ、βは心筋とともに、神経系に強い発現がみとめられた。 以上のことより、NDPKは心筋収縮及び代謝に必須のキナーゼであると考えられ、受容体や圧負荷によるシグナルの発生に重要な働きをしていると考えられる。圧負荷時のNDPKα,βの発現を明らかにすることは心筋細胞の肥大及び心不全の病態解明にも重要である。今回、肥大心のNDPキナーゼの働きについて、検討した。8WのWKYラットの腹部大動脈狭窄により、圧負荷肥大心を作成し、α、βのmRNAの発現を比較し検討した。術後、2-3日で、αは、約3倍の増加を示した。βは、わずかな増加を示した。また、α、βの局在は、αは心筋細胞の細胞膜及び細胞質、βは細胞膜にみとめられた。ラット心筋では、NDPキナーゼアイソタイプのα、βの発現調節がみられ、α、βはそれぞれ局在が異なった。NDPキナーゼが肥大心発症時に、細胞シグナル伝達に重要であることを示唆される。
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