研究概要 |
COP1結合タンパク質の解析 1.COP1と相互作用するタンパク質の候補CIP1についての解析を行なった。 CIP1は、COP1タンパク質をビオチン化で標識して得られたクローンで全体的にはcytoskeleton様の構造を持っていた。このタンパク質は、COP1タンパク質とcoiled-coil間で相互作用していることがわかった。またこの相互作用は、CIP1に特異的で対照として用いたmyosin typell,myosin typeIVは、COP1と結合しなかった。 CIP1タンパク質の発現は、明暗の2つの条件で育てたArabidopsisの芽生えを用いたウエスタンブロットの結果、両条件で変化がみられなかった。しかし細胞内局在を調べた蛍光抗体法によってCIP1タンパク質は、COP1の核と細胞質の分配が起こる胚軸細胞や子葉細胞では細胞質中でネットワーク構造を形成しているのに対して、分配の起こらない根の細胞では、細胞質中に散在していることがわかった。このことはCIP1タンパク質の局在がCOP1の分配に関与しているのではないかということが考えられた。 2.COP1と相互作用するタンパク質のほかの候補の1つCIP7について解析を行なった。 COP1タンパク質にFlaqエピトープを結合して、CIP7と一緒にreticulocyte lysateのin vitro系でメチオニンで標識しながら発現した後、Flaqに対する抗体で沈降を行なった。沈澱物をPBS+0.05% NP-40で洗浄した後、電気泳動で共沈物を解析した結果、弱くではあるが相互作用が観察された。 さらにCOPタンパク質をアイソトープ^<32>Pで標識した後、GSTに結合したCIP7タンパク質をグルタチオンカラムに結合してCOP1タンパク質がこのカラムに結合するかを調べた。この結果、COP1タンパク質はGSTのみでは、カラムに結合しないが、GST-CIP7には、結合することが分かった。 CIP7の発現を種々の光条件で調べた。その結果、暗黒下で育てた芽生えを明所に移した後、経時的にその発現量を測定すると光照射後20分で発現が観察されなくなることが分かった(山本義治氏、Yale大学、Xing-Wang Deng研との共同研究による)。このことから作業仮説としてCOP1タンパク質の核から細胞質への移動は、CIP7タンパク質の消失に起因しているのではないかということが示唆された。
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