研究課題/領域番号 |
07272107
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
早津 彦哉 岡山大学, 薬学部, 教授 (10012593)
|
研究分担者 |
葛西 宏 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (40152615)
森 秀樹 岐阜大学, 医学部, 教授 (70021433)
井村 伸正 北里大学, 薬学部, 教授 (70012606)
成澤 富雄 秋田大学, 医療技術短期大学部, 教授 (20006711)
広瀬 雅雄 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (90145748)
|
キーワード | 化学予防 / 抗酸化剤 / 抗発がん性 / 抗変異原性 |
研究概要 |
本研究では生物化学、基礎医学の研究者がグループとなって、がん化学予防の基礎となるin vitroでの抑制物質の検索と反応機構の検討、動物実験による証明、ヒトへの適用の可能性を検討している。 1.発がん性、変異原性抑制機構:緑色色素クロロフィリンは変異原物質のDNA付加体形成を抑制したことから抗変異原活性の発現段階はDNA傷害の誘起以前であることが示唆された。発がん過程に、活性酸素の関与が示唆されている。MeIQxによる肝DNA中の8-ヒドロキシグアニン(8-OH-Gua)残基の生成やDMHによる大腸粘膜の8-OH-Gua残基、過酸化脂質の生成はこのことを支持するものである。これらを緑茶抽出物が抑制したことは、抗酸化剤による発がん抑制を裏付ける結果である。ラットにグルタチオン合成阻害剤とともにカドミウムを投与すると発がん標的臓器の精巣で8-OH-Gua修復酵素の活性の低下が見られた。従ってグルタチオンは修復酵素を介して発がんにつながるDNA傷害を防御していることが示唆された。抗酸化酵素の活性中心金属であるセレンの欠乏の場合はシスプラチンで増加する肺がんの発症を促進しなかった。ラジカルスカベンジャー作用の見られたフコキサンチンには強力な抗発がんプロモーター作用があった。 2.発がん抑制物質の検索:動物実験における発がん抑制物質の検索はin vitroで得られた結果と一致して主に抗酸化剤に強い活性が得られている。Glu-P-1のラット肝前がん病変、DMH大腸発がんモデルにおけるPhIPのプロモーション活性を抗酸化剤のHTHQが強く抑制した。MNU誘発大腸発がんをプラパスタチンやクロレラが顕著に抑制した。この時至適有効量があった。DEN誘発ラット肝癌モデルにおいてタウリンはイニシエーション期、プロモーション期ともに抑制効果を示した。ビールに強い抗変異原性が見いだされ、抗変異原、抗発がん物質の検索を継続する意味を示した。
|