研究概要 |
1.膵臓に関しては,comparative genomic hybridization (CGH)法,fluorescence in sity hybridization (FISH)法,マイクロサテライトマーカーを用いたPCR法により染色体領域のコピー数の異常を指標に癌遺伝子・癌抑制遺伝子の局在の候補領域を検索し,6か所の高頻度の欠失領域(1p, 6q, 9p, 12q, 17p, 18q)と2か所の増幅領域(8q, 20q)を検出した。そのうち,6q, 12q, 20qにおいては,さらに詳細に検討を加え,12qでは1cM以内の共通欠失領域を同定した。 2.子宮体癌についてもCGH法,FISH法,マイクロサテライトマーカーを用いたPCR法により検討を加え,第10番染色体長腕に2か所の高頻度の染色体欠失領域を発見した。さらに,そのうちの1か所について詳細な検討を加え,共通欠失領域を790kb以下にまでせばめることができた。 3.DNAミスマッチ修復異常の下流に位置する遺伝子異常としてtransforming growth factor (TGF)β receptor type II (RII)遺伝子とinsulin-like growth factor II receptor (IGFIIR)遺伝子における異常の検索を行い,大腸癌,胃癌ではRIIとIGFIIRの両方の異常がみられ,子宮体癌ではIGFIIRの異常がみられるが,膵癌では異常はみられないことを明らかにした。 4.hMSH2遺伝子のsplicingのバリエーションが2種類あり,合計3種類のmRNAが正常組織で発現していること,また,バリアントの発現量は低いことを明らかにした。さらに,それらのうち1種類ではsplicingのdonor siteとacceptor siteがそれぞれTAとTTであった。
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