研究課題/領域番号 |
07273102
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村松 喬 名古屋大学, 医学部, 教授 (00030891)
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研究分担者 |
井原 義人 大阪大学, 医学部, 助手 (70263241)
古川 鋼一 長崎大学, 医学部, 助教授 (80211530)
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学部, 教授 (50025706)
神奈木 玲児 愛知がんセンター, 部長 (80161389)
入村 達郎 東京大学, 薬学部, 教授 (80092146)
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キーワード | 糖タンパク質 / 糖脂質 / がん転移 / セレクチン / 糖転移酵素 / ムチン / フコシルトランスフェラーゼ / N-アセチルグルコサミントランスフェラーゼ |
研究概要 |
昨年度クローニングされたFucTVIIが成人T細胞白血病におけるセレクチンリガンドの合成を司り、FucTVIIのアンチセンスcDNAがこれを抑えることが判明した。ヒト膀胱がんで、転移関連糖鎖マーカーを担う新しいムチン型の糖タンパク質メタネスチンを発見、cDNAクローニングした。メタネスチンの分子量は60,000であり、アミノ酸組成からムチン型の糖タンパク質と考えられた。抗メタネスチン抗体(タンパク部分に対しての抗体)は正常膀胱粘膜とほとんど反応せず、原発巣と弱く反応し、リンパ節転移巣と強く反応した。こうしてタンパク部分と糖部分が共に転移能に関連する可能性が強くなった。シアリルTn抗原が、ペプチド上に4個の糖鎖クラスターを作っていることが判明した。N-アセチルグルコサミン転移酵素III(GnT-III)cDNA導入K562細胞はヌードマウスの脾臓でコロニーを形成したが、K562細胞自体はその能力がない。GnT-III導入K562細胞はNK細胞抵抗性となっており、がん細胞が宿主の免疫系から逃れるメカニズムとして、がん細胞表面の糖鎖変化の関与が考えられた。ガングリオシドGM2合成酵素を欠失したマウスの肝細胞は接触阻害が弱く異常増殖した。細胞の増殖制御に高次のガングリオシドが関与することが確実となった。MUC1ムチンのコアタンパク質cDNAの導入、そして、ベンシル-N-アセチルガラクトサミンによるグリコシル化阻害の実験結果から、MUC1ムチンの糖鎖が、がんの浸潤を助けていると結論された。
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