研究課題/領域番号 |
07273108
|
研究種目 |
重点領域研究
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
喜多村 直実 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (80107424)
|
研究分担者 |
蛯名 洋介 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (00112227)
清野 進 千葉大学, 医学部, 教授 (80236067)
松井 利充 神戸大学, 医学部, 講師 (10219371)
東山 繁樹 大阪大学, 医学部, 助手 (60202272)
大工原 恭 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (40028733)
|
キーワード | 細胞増殖抑制 / HGF / c-Met受容体 / HB-EGF / ガストリン受容体 / ソマトスタチン / インスリン受容体 / c-kit受容体 |
研究概要 |
細胞の増殖・分化にかかわる細胞増殖因子あるいはそれらの受容体の遺伝子の発現あるいは活性の変化が、細胞の増殖に異常を来し、がんの発生および進展に深く関わっている。本研究では増殖因子-受容体系のうち、特にがん細胞の増殖制御において重要である数種の系を対象とし、遺伝子発現および活性発現制御の分子機構造を明らかにすることを目的として解析を行い以下の結果を得た。 1.HGF受容体(c-Met)を介して強くチロシンリン酸化される新規の細胞内シグナル伝達分子についてcDNAクローニングを行い、ジンクフィンガー構造などの特徴的構造を有することを明らかにした。 2.ヒト血清中に不活性型プロHGFを活性型に変換する酵素が含まれていること、劇症肝炎患者血清中には活性型HGFと共に相当量のプロHGFも含まれHGF活性化酵素を添加することにより活性型に変換されることを見出した。 3.プロHB-EGFのジャクスタクリン活性はヘパリン結合ドメインを介するCD9との相互作用、N末端プロセシングおよびC-キナーゼ経路を介するC末端プロセシングにより制御されていることを明らかにした。 4.ガストリン受容体はヒト悪性腫瘍では、肺小細胞がんや様々の白血病細胞に特異的に発現していることを見出した。またガストリン受容体ががん細胞増殖抑制の分子標的として有用であることを明らかにした。 5.ソマトスタチンの細胞増殖抑制には百日咳毒素感受性G蛋白質を介するシグナルとチロシンキナーゼリン酸化シグナルのクロストークにより惹起されたMAPキナーゼ活性の低下が関与する可能性が示唆された。 6.GLUT4のトランスロケーションはインスリンにより活性化されたPI3キナーゼにより伝達されること、さらにこれはPDGFやEGFなどの他の増殖因子のもつ共通の作用であることを明らかにした。 7.oct3遺伝子の発現調節領域を使い、c-kitを始原生殖細胞で恒常的に発現するトランスジェニクマウスを作製し解析した結果、c-kitの発現低下が始原生殖細胞の増殖停止の直接の原因ではない可能性が示唆された。
|