研究概要 |
1.正常、あるいはmiミュータントのマスト細胞からRT-PCR法を用いてmRNAの3′サブトラクションcDNAライブラリーを作成し、両者の間で発現レベルの異なるcDNAを濃縮した。濃縮されたcDNAライブラリーのなかには癌遺伝子c-kit、あるいはマスト細胞特異的プロテアーゼ(MMCP-6)遺伝子のcDNAが見いだされた。これらに加えて、未知の遺伝子cDNAを取得し、その構造解析を行なった。現在これらの遺伝子の全構造の決定を行なっている。 2.c-kit,MMCP-6遺伝子の制御領域の解析を行ない、5′-フランキング配列の中にmi転写因子と結合する部位を見いだした。 3.マウスミュータントmiにおいてはmi遺伝子のDNAに結合する領域に-アミノ酸の欠失があることを明らかにしたc-kit,MMCP-6遺伝子の制御領域に変異を起こしたmi転写因子が結合できないことが示された。我々はさらにmi転写因子に対する特異的な抗体を作成し、この変異を起こしたmi転写因子が細胞核へ移行できなくなっていること、また変異mi転写因子が存在することによって正常mi転写因子が核に移行できなくなることを明らかにした。 4.mi遺伝子産物と相互作用をする遺伝子産物の同定を試みた。mi遺伝子の塩基配列をもとに大腸菌に合成させた蛋白を抗原として抗mi蛋白抗体を取得し、マスト細胞核抽出液において抗mi蛋白抗体と反応する蛋白の同定を行い、mi転写因子とc-fos,TFEB,TFE3等の遺伝子産物が細胞内において結合しうることを示した。
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