研究概要 |
1.ヒトST2遺伝子の染色体マッピング:ヒトST2cDNAをプローブとしてhuman/rodent somatic cell hybrid mapping panelを用いてhybridizationを行い、ヒトST2遺伝子が第2染色体上に存在することがわかった。さらに、ヒトST2染色体DNAをプローブとしてFISH (fluorescence in situ hybridization)を行い、ST2遺伝子が2q11.2に存在することが明らかになった。ヒトの場合もマウスの場合と同様にST2遺伝子がIL-1受容体遺伝子と極めて隣接していることがわかり、両者の機能的関連が示唆される。 2.ST2遺伝子のTh2細胞における発現:マウスのTh1細胞(HDK1, D1.1), Th2細胞(D10, CDC35)を検討し、ST2遺伝子がTh2細胞のみに発現していること、さらに、ST2L(膜貫通型)は常時発現が認められるが、ST2(分泌型)はPMAとA23187で刺激した場合のみ発現が誘導されることがわかった。 3.組み換えヒトST2タンパク質の精製:ヒトST2cDNAを挿入した発現ベクターを構築し、COS7細胞に導入した後、培養上清を集めてヘパリンアガロース、MonoQカラムクロマトグラフィーの2段階を用いて組み換えヒトST2タンパク質を精製した。200mlの培養上清から120μgの精製タンパク質が得られた。 4.ST2タンパク質を結合する細胞の検討:Th2細胞でST2遺伝子が発現していることから、まずB細胞系をスクリーニングした。上記精製ST2タンパク質をFITCで標識し、フローサイトメトリーを行った結果、ミエローマ由来のRPMI8226細胞に顕著な結合が認められた。さらに、白血病患者の末梢血ミエローマ細胞もST2タンパク質を結合したことから、かなり分化したB細胞系の細胞表面に膜結合型のリガンドが存在することが推定される。現在expression cloning法を用いてST2に対するリガンド分子をクローニングしている。
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