研究課題/領域番号 |
07274212
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田川 雅敏 千葉大学, 医学部, 講師 (20171572)
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研究分担者 |
竹永 啓三 千葉がん研, 化学療法研究部, 研究員 (80260256)
小林 進 千葉大学, 医学部・付属病院, 助手 (50234828)
軍司 祥雄 千葉大学, 医学部・付属病院, 助手 (60241957)
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キーワード | SCID / サイトカイン / 遺伝子治療 |
研究概要 |
サイトカイン遺伝子治療のin vivoモデルの確立を目的としてSCID-huマウスを作成し、この動物モデルを使用して、抗腫瘍効果を惹起しうるサイトカインの同定を行った。(1)SCID-huマウスの作成;末梢血幹細胞移植を施行した5例の患者より得た単核細胞(CD34陽性細胞は0.5〜2.5%)を、SCIDマウスの腹腔内に投与しreconstitutionを行った。ヒト免疫グロブリン量等を測定することによりSCID-huの作成を確認した。(2)サイトカイン産生腫瘍の確率;HLAのタイピングが明らかにされているヒト胃がん細胞GC101488に、レトロウイルスを用いてヒトIL-2、ヒトIL-6遺伝子を導入し、サイトカイン産生量の最も多いクローンを選択した。(3)抗腫瘍効果の検討;SCID-buマウスに親株、サイトカイン産生細胞を接種し、その腫瘍増殖とtumorigenicityを検討した。その結果、invitroの細部増殖はいずれの細胞とも同一であったが、IL-2産生細胞のみは、接種後一時小さな腫瘍を形成するも、大部分の腫瘍は退縮し、のち完全に消失した。これに対して、親株やIL-6産生細胞を接種した群では、腫瘍の退縮は観察されず増殖を続けた。IL-2産生腫瘍を排除したSCID-huマウスに、親株を接種したところ、親株による腫瘍はその増殖が阻害されず、腫瘍拒絶マウスではacquired immunityは成立していなかった。また退縮しているIL-2産生腫瘍では、リンパ球の浸潤は僅かであり、好中球が主体となった一部壊死像を伴う組織像が得られた。従って以上の結果から、がん患者の免疫担当細胞を活性化し、抗腫瘍効果を惹起するにはIL-2が有効であることが判明しこの効果のエフェクター細胞としてはNK細胞、LAK細胞が推定される。
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