研究課題/領域番号 |
07274233
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
米原 伸 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (00124503)
|
研究分担者 |
酒巻 和弘 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (20271017)
|
キーワード | Fas抗原(Fas) / アポトーシス / プロテインキナーゼ / HTLV-1(成人T細胞白血病ウイルス) / Tax / 卵巣 / gldマウス / lymphopadenopathy |
研究概要 |
生体、特に高等動物の生体において、発生時の形態形成、ホメオスタシスの維持に必要不可欠の現象であるアポトーシスは、がんの発生や除去においても重要な働きをしている。アポトーシス誘導シグナルを細胞内に伝達する細胞表層レセプター分子Fasを介するアポトーシス誘導シグナルを明らかにし、また、Fasの生理的役割と機能を免疫系を含む色々な組織で明かにすることを目的として研究を行い、以下の結果を得た。(1)抗Fasモノクローナル抗体特異的にFasと共精製される分子量90kdのタンパク質を精製し、その部分アミノ酸配列を決定した。(2)Fasを刺激して90分でその活性が最大となる分子量34kdのプロテインキナーゼを、ヒストンを基質とするゲル内リン酸化法で検出し、精製した。現在、このキナーゼの部分アミノ酸配列の決定を試みている。(3)ヒト成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の発がん遺伝子産物TAXが、T細胞においてFasを介するアポトーシス誘導シグナルを特異的に抑制することを、一過性の遺伝子発現実験により証明した。また、Taxのミュータントを用いた実験により、この活性にはTaxによるCREBの活性化経路は関与せず、NF-κBの転写活性化経路の関与することが示された。(4)アポトーシス誘導活性を有する抗マウスFasモノクローナル抗体RK-8をマウスに投与する実験を行い、卵巣では黄体細胞や濾胞細胞(卵胞内で卵を取り囲む細胞)にアポトーシス誘導能を有するFasが発現し、機能していることを見いだした。(5)Fasリガンドのミュータントマウスであるgldマウスに、抗Fasモノクローナル抗体RK-8を投与することにより、gldマウスに発症するlymphoadenopathyが、ほぼ完全に治癒した。
|