電位依存性K^+チャンネルに関しても最近βサブユニットが存在することが明らかにされ、それらの種類やまたそれらのK^+チャンネル(αサブユニット)の機能に対する影響について盛んに研究が進められている。 1.相同性をもとにしたスクリーニングによってウサギの心筋よりShakerファミリーに属するKv1.5をクローニングした。そのKv1.5電流に対するラットのβ1サブユニットの影響を卵母細胞の発現系を用いて検討し、本来殆ど不活性化のない遅延整流型の電流であるKv1.5電流がβ1サブユニットによって速い不活性化を示すようになることを明らかにした。また、β1サブユニットはKv1.5電流の活性化曲線にも影響を及ぼした。さらにKv1.5以外のαサブユニット(Kv1.2とKv1.4)に関しても同時に発現させたβ1サブユニットは、それらの電流の不活性化を速くすることを観察した(Kv1.4電流は本来速い不活性化を示すため、その成分を除いた変異体を作製して検討した)。現在、β1サブユニットの各αサブユニットに対する影響がどのように異なるのかを詳細に調べるために、β1サブユニットとKv1.2、Kv1.4、Kv1.5とのキメラ体を作製して、検討を開始したところである。 2.蛋白分子として相互作用することを指標としてK^+チャンネル(αサブユニット)の機能調節分子をクローニングするために酵母のTwo Hybrid Systemが利用できるかどうかを検討した。そのため、まず1.で述べたように機能的に相互作用することが分かっているαとβ1サブユニットの間の相互作用が酵母の系で検出できるかどうかを調べた。これまでのところ相互作用を示す2種類のレポータ遺伝子の活性が両方とも明らかに認められているというわけではないが、この酵母の系が目的とする蛋白のクローニングに利用できるかどうかに関してはさらに検討する予定である。
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