研究課題/領域番号 |
07276222
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 達彦 京都大学, 農学部, 講師 (70221976)
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研究分担者 |
片岡 道彦 京都大学, 農学部, 助手 (90252494)
清水 昌 京都大学, 農学部, 教授 (70093250)
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キーワード | コバルト / トランスポーター / ニッケル / ニトリルヒドラターゼ / 遺伝子 |
研究概要 |
放線菌Rhodococcus rhodochrousJ1の、ニトリルをアミドへ変換する酵素“ニトリルヒドラターゼ"の構造遺伝子と、(ニトリルから生成した)アミドをカルボン酸へ変換する酵素“アミダーゼ"の構造遺伝子間に、コバルトトランスポーターをコードしていると推定される膜タンパク質様のHydropathyを示すオープンリーディングフレームを発見した。予想されるアミノ酸配列は、既に報告されている細菌Alcaligenes eutrophusのニッケル輸送タンパク質HoxNと相同性を示すとともに、細菌Bacillus属のウレアーゼ遺伝子下流のニッケル親和性タンパク質UreHとも相同性を示した。 本構造遺伝子をニトリルヒドラターゼ遺伝子とともに、Rhodococcus-E.coliシャトルベクター(pK4)に導入し、Rhodococcus rhodochrousATCC12674に組込んだ形質転換体を、コバルトイオン濃度を変化させた培地で培養し、菌体中のニトリルヒドラターゼ活性を測定した。コントロールとして、本構造遺伝子を含まずニトリルヒドラターゼ遺伝子のみをシャトルベクターに導入し形質転換させたものを用いた。その結果、培地中のコバルトイオン濃度が0.01%(w/v)の濃度では、コントロールと比較してほとんどニトリルヒドラターゼ活性の差が認められなかったのに対し、10^<-5>〜10^<-3>(w/v)のコバルトイオン濃度では、コントロールと比較して、顕著なニトリルヒドラターゼ活性が検出された。さらに、R.rhodochrousATCC12674形質転換体内への^<57>Coの取り込み実験では、本構造遺伝子を発現させた(本遺伝子とニトリルヒドラターゼ遺伝子をともに組込んだプラスミドpLJK60含有)形質転換体は、コントロールの(ニトリルヒドラターゼ遺伝子のみを組込んだプラスミドpLJK60含有)形質転換体に比べて著しく高いコバルト輸送活性を示した。以上の結果より、コバルトを補欠金属として含有する本酵素にとって、本構造遺伝子由来のタンパク質はコバルトに親和性の高い輸送機構において重要な役割を担っていることが示唆された。コバルト輸送タンパク質としては、これが初めてである。
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