研究課題/領域番号 |
07276242
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
重川 宗一 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 部長 (00113738)
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研究分担者 |
池田 俊太郎 同, 循環分子生理部, レジデント研究員
若林 繁夫 同研究所, バイオサイエンス部, 室長 (70158583)
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キーワード | Na^+ / H^+交換輸送系 / Na^+ / Ca^<2+>交換輸送系 / カチオン交換輸送系 |
研究概要 |
a)これまでの研究で、ヒト1型Na^+/H^+交換輸送系(NHE1)細胞質ドメインにはカルモジュリン(CaM)結合部位が存在し、NHE1のH^+センサーの作用を阻害すること、Ca^<2+>/CaMがこのセグメントの阻害作用を解除できることを示した。今年度はこのCaM結合部位に種々の変異を導入してこの部位の阻害機序について検討し、この部位のLeu639が機能上重要であり、これの変異はCaM結合部位の阻害作用を大幅に低下させること、これを他の疎水性アミノ酸では代替できないことがわかった。従って、この阻害セグメントとNHE1分子内に存在するアクセプター部位は大変特異性の高い相互作用をおこなうものと推定される。b)NHE1の細胞質ドメインの他のセグメントの機能的役割を検討し、この輸送体のpH感受性を生理的な範囲に高く維持するのに必要な部位が細胞質ドメインのN末端約70アミノ酸からなるセグメントに存在することが判明した。このセグメントは、pHセンサーの少なくとも一部を形成する可能性がある。c)NHEアイソフォーム間の機能的差異と構造的差異との関係を明らかにする初期の試みとして、NHE1とヒト3型Na^+/H^+交換輸送系(NHE3)との間で膜ドメインと細胞質ドメインを交換したキメラを作成しその機能を調べた。その結果、NHE3細胞質ドメインはCaMを結合できるにもかかわらず、NHE1の膜ドメインとのキメラでは、intactなNHE3と同様、Ca^<2+>/CaMによる活性制御が起こらないこと、一方、NHE3の膜ドメインとNHE1の細胞質ドメインのキメラでは、intactなNHE1と同様、Ca^<2+>/CaMによる活性制御が起こることが判明した。従って、1型及び3型の膜ドメインの機能的類似性は高いことがわかった。d)血管平滑筋並びに心筋細胞のNa^+/Ca^<2+>交換輸送体が、エンドセリン-1、PDGFなどの生理活性因子刺激によりCナーゼを介してリン酸化され、同時に、その活性を増大させることを明らかにした。この際、輸送体cDNAを過剰発現させた培養細胞及び大腸菌に融合蛋白質として発現した輸送体細胞質ドメインをリン酸化してそのリン酸化ペプチドマッピング解析を行い、この輸送体の細胞質ドメインがCキナーゼにより直接リン酸化されることを示した。
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