研究概要 |
1)上丘における可塑的発現制御機構の解析系の確立 網膜視神経細胞からの入力を変化させ、投射先である上丘のGluRmRNAの変化を定性的定量的に解析する系を確立を試みた。入力を減少させたために、片側の眼球摘出をおこなった。幼若ラットの片側の眼球を摘出したのち、in situハイブリダイゼイションで上丘のGluR1,GluR2の遺伝子のmRNAを摘出したところ、摘出眼球の視神経細胞が投射する側の上丘のGluR1,GluR2mRNAの発現は低下していた。とくにGluR2は視神経層で確実に低下しており、従って網膜からの入力が消失することで、GluR2遺伝子の転写活性が低下した可塑性が示唆された。今後、症例を増やすと同時に、RT-PCRをもちいて、定量的に変化を調べる。 3)組み替えアデノウイルスを用いた上丘の神経細胞へのGluR遺伝子の上流ゲノム領域の導入 in vivoで遺伝子導入するために、組み替えアデノウイルスを利用した。GluR2遺伝子の上流ゲノム領域1Kbpの下流にLacZ遺伝子をもった組み替えアデノウイルスを、脳初代培養細胞に感染させると、神経細胞、グリア細胞ともに感染するが、LacZは神経細胞に特異的に発現したのでアデノウイルスベクターは転写制御研究に有用であることが確認さた。アデノウイルスをin vivoに適用する準備として、強力なプロモータの下流にLacZ遺伝子をもった組み替えアデイウイルス(陽性コントロール)をマウスの脳に注入したところ、外来遺伝子を逆行性に神経細胞に導入できることがわかった。
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