研究課題/領域番号 |
07278250
|
研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
大迫 俊二 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経細胞生物学研究部門, 主事研究員 (50152103)
|
研究分担者 |
高松 芳樹 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経細胞生物学研究部門, 主事研究員 (50250204)
|
キーワード | CaMキナーゼII / 可塑性 / 転写 / 脳神経系 / 発現 / 組織特異性 / トランスジェニック / シスエレメント |
研究概要 |
カルモデュリン依存症プロテインキナーゼII(CaMキナーゼII)の脳神経系特異的発現はその正常の機能発現に必須であると考えられること、また、LTP成立後にCaMキナーゼIIメッセンジャーが増加するという報告を考え合わせ、本年度はCaMキナーゼIIの転写調節メカニズムを中心に解析し、神経系の可塑性の分子メカニズムを明らかにするための出発点とした。 まず、CaMキナーゼII遺伝子の転写開始点を決定した。次に、5'上流4kbpおよび第1エクソン、第1イントロを含む領域をβ-ガラクトシダーゼ(lac Z)遺伝子に繋いだコンストラクトを作成し、これを導入したトランスジェニックフライの胚における発現パターンをin situ hybridization法によって調べた。lac Z mRNAの発現は、CaMキナーゼIIのものと同様に胚発生後期の脳神経系で非常に強かった。この結果から、CaMキナーゼIIの脳神経系特異的発現パターンは、mRNAの安定化によるのでなく、転写レベルで制御されており、この領域に組織特異性を決めるために必要な配列が存在するものと考えられた。さらに、CaMキナーゼII遺伝子5'上流とイントロンを様々に欠失したDNA断片をlac Z遺伝子に繋いだコンストラクトを作成し、これを導入したトランスジェックフライにおけるlac Zの発現パターンを調べた。その結果、5'側がmRNAの転写開始点より0.5kbp上流、または3'側は143bp下流までに脳神経系特異的発現の転写制御領域が存在するものと考えられた。今後さらに、この領域の脳神経系特異的発現に関与するシスエレメントを同定することによって、CaMキナーゼIIの脳神経系特異的発現の転写制御機構を明らかにしたいと考えている。
|