研究概要 |
1 ヒトグリア型グルタミン酸トランスポーター(hGluT-1)の薬理学的解析: hGluT-1の薬理学的特性を詳細に解析するため、hGluT-1をCOS7細胞に電気穿孔法で導入した。hGluT-1のグルタミン酸取り込み活性は、グルタミン酸のfolded formに構造的に類似しているL-CCG-IIIやL-CCGIVにより抑制される(IC_<50>はそれぞれ0.29μM,1.1μM)が、extended formに類似しているL-CCG-IやL-CCG-IIではほとんど抑制されない(IC_<50>は10μM以上)。またパーキンソン氏病の治療薬であるブロモクリプチンが、hGluT-1のグルタミン酸に対する親和性を低くすることによりグルタミン酸取り込み活性を促進させることを見いだした。 2 グルタミン酸トランスポーター遺伝子欠損マウスの作成: グリア型グルタミン酸トランスポーター2種(GluT-1,GLT1)の個体レベルにおける生理学的・病態生理学的役割を解析するため、各々のサブタイプを欠損しているミュータントマウスの作成を試みた。GluT-1遺伝子のエクソン6(4番目の膜貫通領域をコードしている)、GLT1遺伝子のエクソン4(3番目の膜貫通領域をコードしている)を欠損するよう各々ターゲッテイングベクターを構築し、ネオマイシン耐性遺伝子とジフテリア毒素遺伝子あるいはチミジンキナーゼ遺伝子を用いたpositive-negative選別法により相同組み換え体をそれぞれ1クローン、4クローン得た。得られた相同組み換え体を胚盤胞に注入しC57BL/6J(B6)とのキメラマウスを作成し、B6マウスとキメラマウスとの交配によりF1ヘテロ型マウスを得た。現在F1ヘテロ型マウスを交配し、F2ホモ型マウスが生まれつつある。
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