研究課題/領域番号 |
07279223
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
葛西 道生 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40022595)
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研究分担者 |
田口 隆久 通産省工業技術院, 大阪工業研究所・有機機能材料, 主任研究官 (10197246)
植田 淳子 大阪大学, 基礎工学部, 教務職員 (90252634)
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キーワード | シナプス形成 / シナプス / 長期増強 / ニワトリ胚 / 分子生物学 / 神経軸索 |
研究概要 |
神経軸索の伸長とシナプス形成は神経回路網形成の最も重要な過程であり、我々はこの発生過程の現象とシナプスの可塑的変化の間に共通のメカニズムがあるものと考えている。本研究においては、軸索伸長促進蛋白因子の解析、シナプス形成過程の解析、シナプス長期増強解析系の開発を目的とし、これら相互の関係解析のための第一段階の研究とする。 生化学的精製やモノクローナル抗体を用いた解析から明らかにした数種の因子候補蛋白質の一つをクローニングし、一次構造を明らかにした。この蛋白質は既知の蛋白質とは相同性の無い新規物質である。我々はこの因子をNPF(Neurite Promoting Factor)と命名した。クローン化した組換え蛋白を大腸菌で発現させたところ、初代培養系を用いたアッセイ系で活性が得られた。in situ ハイブリダイゼーションの結果は大脳全域に亘る発現を示した。cDNAの組換えにより調製した欠損NPF作製と発現による解析は、神経突起伸長活性を担う部位がC末端に近い部位にあることを明らかにした。 一方、我々は、すでに培養ニワトリ胚大脳細胞において電気生理学的に機能するシナプス形成がE. E. Days(胚令+培養日数)依存的に起こり、このシナプス形成過程においては、E. E. Days15から17にかけてシナプス部位の成熟が起こることを明らかにしている。この過程のメカニズムを探るために、この成熟の活動依存性を調べた。シナプス伝導と伝達の2種類の活動の影響を区別して考えるために、同時期にTTXとCNQXの効果を検討した。その結果、両阻害剤ともにevoked EPSCの大きさの増大を有意に抑制したが、CNQXの方がその度合いが大きかった。しかし、miniature EPSCの大きさは両者間に差が認められなかった。このことは、両者の活動が異なる発生過程に関与していることを示している。
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