研究課題/領域番号 |
07280103
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
油谷 克英 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (90089889)
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研究分担者 |
熊谷 泉 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10161689)
城所 俊一 相模中央化学研究所, 副主任研究員
片岡 幹雄 奈良先端科技大学院, 物質創成科学, 教授 (30150254)
櫛田 孝司 奈良先端科技大学院, 物質創成科学, 教授 (00013516)
山縣 ゆり子 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (40183678)
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キーワード | タンパク質立体構造 / タンパク質の安定性 / タンパク質のダイナミックス / タンパク質の折れたたみ機構 / リゾチーム / カロリメトリー / X線結晶解析 |
研究概要 |
本計画研究班では、「蛋白質立体構造の構築原理」の物理・化学的側面を解明する。「構築原理」の物理・化学的側面を解明するために、(1)ヒト・リゾチームを集中的に研究する課題と(2)種々の蛋白質を用いて立体構造の安定性・ダイナミックス・折れたたみ機構に関するそれぞれの重要な問題を解決する課題に分かれている。(1)の課題(油谷、山縣、北尾)は、系統的で網羅的なヒトリゾチーム変異型を作成し(100種以上)、得られた全ての変異型について、カロリメトリーにより熱変性の熱力学的パラメータを求めると同時にX線結晶構造解析を行い変異に伴う構造変化を調べた。蓄積されたデータを基に、変異蛋白質の安定性の変化と構造の変化の相関を検討し、個々の安定化因子の定量化に成功した。そこでは、二次構造の傾向性、水分子の導入、水素結合の形成と消失、極性基(polar)なびに非極性基(non-polar)の変性に伴う表面露出面積の差(ΔΔASA)などを考慮した。これらの結果は、非極性基の変化は安定性に大きな,役割を果たすのに対して、極性基は殆ど安定化に影響を与えないことを示した。また、例えば、2.8Å離れた水素結合の寄与は5.0kJ/molとなった。そして、1分子の水の導入によるエントロピー項による不安定化は-7.1kJ/molで、水の導入によって2本の水素結合ができたとすれば、結果的に2.9kJ/mol安定化されることが分かった。(2)の課題に関しては、好熱菌蛋白質の安定性研究には城所、油谷が担当した。櫛田は自身が開発した時間分割フォールバーニング分光法を用いて、広い温度領域と時間領域に亘って蛋白質の構造変化のダイナミックスの直接観測を行うことに主力を注ぎ、独創的な成果を得た。ダイナミックス、折れたたみ機構.非天然状態の構造研究は木寺、片岡、桑島、後藤が、更に蛋白質の機能解析に熊谷、城所が担当して種時の成果を得た。
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