研究概要 |
1.これまで山田が開発を手がけてきた、高圧NMRの手法を高感度の400MHzパルスFT-NMR装置に適用可能とし、これを用いて、1-2000atmの圧力範囲、7.5°C-40°Cの温度範囲で代表的な蛋白質としてribonuclease Aの熱力学的構造安定性を調べた。 2.His εプロトンの信号を用いてフォールド、アンフォールドした状態の割合を測定した。フォールド、アンフォールド状態におけるGibbs自由エネルギー差を、温度変化に対する圧力関数、圧力変化に対する温度関数として求めた。アンフォールディングに伴う体積変化△Vは負の値を示した。△Vは温度依存性を示し、7.5°Cにおける-10ml/molから37°Cにおける-30ml/molまで減少した。実験的に決められたGibbs自由エネルギー差を温度と△C_pを含む理論式で最小二乗法最適化することにより、様々な圧力下、7.5-40°Cの温度領域における△G, △H, △S及び△C_pの最適値を決定した。特筆すべきことは△C_pが圧力依存性を示し、1atmにおける1.79kcal/molKから2000tmには非極性側鎖の水和状態が、この条件下におけるribonuclease A構造の圧力依存性を決定する重要な要因であることを示した。
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