ニホンナシの自家不和合性において、花柱側で複対立遺伝子に対応して発現している特異的蛋白質が、RNase(S-RNase)と見られることから、遺伝子導入の手法により、S-RNaseの機能と自家不和合性の仕組みを調べようとした。S-RNase遺伝子の形質転換系を得るため、Agrobacteriumのベクターを作成し、ペチュニアに導入した。 ニホンナシ品種二十世紀の花柱のS2-およびS4-RNaseのcDNAをPetunia inflataのS3プロモーターにつなぎ、pBI101のgus cassetをカットした後、ligationを行なった。このプラスミッドをAgrobacterium LBA4404にelectroporationによって導入した。 pBluescript SKからのインサートの切出しとライゲイション、pBI101のrecombinantのそれぞれについてインサートのサイズ確認を行なった。 植物体への遺伝子導入を行うため、ベクターのAgrobacteriumをP.inflataのS3S3系統の葉片に感染させた。共存培養はタバコの縣濁細胞と共に3日間行った。その後、kanamycin (100mg/L)とcarbenicillin (500mg/L)を含む選抜培地に移植した。現在、これらの再分化個体をスクリーニングしている。 以上の実験から、ニホンナシのS-RNaseをペチュニアで発現させ、スケールアップにより、RNaseの機能解析に用いることができることを確認した。
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