研究課題
重点領域研究
染色体ならびにクロマチンの核内配置の要因に関して研究を進め、次のような成果が得られた。核内の染色体単位のマクロな配置に関与すると考えられる染色体のセントロメアとテロメアに関する研究で、舛本はセントロメア局在タンパク質CENP-Bの欠損タンパク質をヒト培養細胞で発現させ、N末端のDNA結合ドメインのみの発現により内在性CENP-Bのセントロメアへの結合が阻害され、分裂前中期での一時的な細胞周期の停止と染色体の異常から分配が引き起こされることを示した。石川はヒトの胚性カルシノーマ細胞から高感度のアッセイ法を適用してテロメラーゼの精製を行い、2本の異なるタンパク質成分からなる最終精製標品を得た。丹羽と平岡は共同して分裂酵母の接合と減数分裂過程での核内の染色体の配置を研究し、核融合と減数分裂における相同染色体の分離の両方に欠損を示すkms1変異では減数分裂前期にスピンドル極体(SPB)とテロメアDNAの相互作用が認められず、テロメアに先導される染色体の核内運動が正常に起こらず相同染色体の核内配置が異常となり、組み換え率の低下も引き起こされることを明らかにした。堀田はユリの花粉母細胞から18個の減数分裂期特異的cDNAクローンを取得し、6クローンについて塩基配列決定、大腸菌での発現と抗体作製を行い、諸性質を解析した。そのうちの1つのLim15はRAD51と共存して減数分裂前期の染色体上の多数の部位に出現することが分かった。水野はニワトリW染色体の形成する顕著なヘテロクロマチンの主要な構成DNA成分であるXhoIファミリー湾曲反復DNAに高親和結合する2種の核内タンパク質を精製し、それらがDNAトポイソメラーゼIとヌクレオリンであることを明らかにし、ともに細胞周期の一時期にWヘテロクロマチンに局在することを共焦点レーザ走査蛍光顕微鏡を用いる間接蛍光抗体法で示した。
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