研究課題/領域番号 |
07282102
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水野 重樹 東北大学, 農学部, 教授 (90112903)
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研究分担者 |
舛本 寛 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70229384)
堀田 康雄 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (30190218)
平岡 泰 郵政省通信総合研究所関西先端研究センター, 生物情報研究室, 室長
丹羽 修身 かずさDNA研究所, 遺伝子機能第一研究室, 室長 (70144318)
石川 冬木 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (30184493)
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キーワード | クロモボックスタンパク質 / ヘテロクロマチン / テロメア / 紡錘局体タンパク質 / 核膜再形成 / パキテン期 / 人工染色体 / セントロメア |
研究概要 |
水野はニワトリのクロモボックスタンパク質CHCB1とその様々な欠失変異体またはクロモボックスをCHCB2,-3のクロモボックス配列と交換した変異体のcDNAクローンをHA-タグを付した形で雌ニワトリの繊維芽細胞で高発現させ、CHICB1のクロモボックスがWヘテロクロマチンの凝縮に関与することを示した。しかし、CHCB1自体はDNA結合性を示さないため、Wヘテロクロマチンを構成するEcoRIファミリー反復配列を含むプラスミドにヌクレオソームを再構築し、これにCHCB1を結合させるアダプター活性を有する核内タンパク質を検索した、その結果、ニワトリMSB-1細胞のクロマチン画分に熱安定性を示し、アダプター活性をもつタンパク質が含まれることが分かり、精製を進めている。石川は出芽酵母を用いて染色体テロメア長の維持に必要と考えられるATMファミリー遺伝子TEL1,RAD3の機能解析を行った。それぞれの遺伝子の変異tell,rad3のいずれかをもつ株ではテロメア長はわずかな短小化しか示さなかったが、これらの二重変異株ではテロメア長の極度の短小化、染色体の不安定化、コロニーの不整形化が観察された。しかし、数百個に1個の割合で正円形コロニーを形成する復帰株が得られた。これらの復帰株ではテロメアDNAは完全に失われ、3本の染色体全てが自己環状化して保持されていることが分かった。丹羽は分裂酵母の紡錘極体(SPB)の構成成分KMS1遺伝子産物の機能を調べるため、kmsl^+株とkmsl突然変異株におけるミニ染色体と正常染色体との間の組み換え頻度を較べた。その結果正常では極めて低い組み換え頻度がkmsl変異により増加することが示され、減数分裂期の相同染色体対合の異常がこのような結果を生むと考えた。また、kmsl^+遺伝子産物と相互作用するダイニン軽鎖類似でSPBに局在するタンパク質を見いだした。平岡はマルチカラー蛍光顕微鏡観察によりヒト培養細胞の分裂期の前中期に核移行能の消失の直前に核膜の変形が中心体付近で起きること、終期には核膜の再形成と核膜孔複合体の集合が核移行能回復に先だって起こることを示した。堀田はユリの減数分裂期特異的な遺伝子産物LIM13がパキテン期に染色体上に集合するがDNA結合能はないことに着目し、酵母two-hybrid法で検索したところ、ヒストンHZ2AがLIM13と相互作用することを認めた。舛本はヒトのアルフォイド反復DNAを含む人工染色体を構築し、ヒト培養細胞でのセントロメア形成には反復配列中のCENP-B box配列の存在が必要であり、この配列に結合したCENP-BにCENP-Cなどのセントロメアタンパク質が相互作用することで機能的なセントロメアが構築されることを免疫沈降法で示唆した。
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